変身サイボーグ1号
(Changeable Cyborg-1)




 




 
(最初期ラインナップ)
 
 
◎ タカラ変身サイボーグ1号・シルバー(最初期型)
 
 1972年8月に発売された変身サイボーグ1号は、それまで販売されていたニューGIジョーシリーズの素体を透明化し、内部にメカを内蔵した、鮮烈とも言える全く新しいフィギュアである。直接的に子供のSFマインドに訴えかけるこのフィギュアの誕生がタカラSFトイ=サイボーグ・ミクロマンひいてはTF・・・をも生み出す事につながった。
 サイボーグシリーズの成立は何より当時スタッフのSFマインドによる所が大きい。その世界観は途中幾度かの設定変更をしているが、どの設定も少年向けSFというにはあまりにハードな設定であり、現在でも大人が楽しめる程、緻密なものである。
 タカラニューGIジョーの前年からの流れである「GIジョー正義の味方シリーズ」は、素体&スーツ同梱だったため高価で、子供たちが各ヒーローをコンプリートするにはかなり困難だった。素体とコスチュームを分立する事で子供たちが1体のフィギュアで遊び続けられる事がシリーズの動機とされているが、もう一つの要因は、ハズブローパテントのGIジョーシリーズがモチーフとする現実の戦争が、ベトナム戦争の泥沼化、軍需目的化、により、子供の憧れる対象たりえなくなって来ていた事にある。
 タカラサイボーグは正義の味方シリーズの「価格的な脱却」とニューGIジョーの陥っていた「現実からの脱却」の為に誕生した。戦争よりは未来を。GIジョーの銃器や基地等の周辺アイテムもSF化された。

 写真は最初期の「ドーム箱」と呼ばれる試験管ウインドーのパッケージで売られていた時の素体だが、試作段階ではメカ部にバイクの部品等が流用されていたらしい(その試作品は写真流出されていない様)。1/6素体としての可動部分はGIジョーと変わらないが、それまでゴムテンションだった首と両肩をアクリル樹脂に変える事で、胴体内のメカスペースを確保している。白色の関節ジョイントも金属的灰色に変更される。
 周辺アイテムにはニューGIジョー正義の味方シリーズの廉価版『変身セット』、またGIジョーの銃器セットから発想された武器『サイボーグセット』がブリスター販売され、敵のキングワルダーT世、弟の少年サイボーグ、合体バイクサイボーグライダー、トーキングアイテム、基地・・・等が発売されていく。
 ストーリー設定には初期の「クロスレインボー部隊」編ではレインボーマンやサイボーグ009の設定が反映され、後期の「片貝ファミリー」編では、シルバー仮面や流星人間ゾーン、W3的な感覚が反映されています。
 ロウ原型等には有名デザイナーである、小林壇氏も参加。また、少年発売以降のリーフレット&カタログには手塚氏による推薦文も書かれています(自分が手塚治虫氏の顔を知ったのはこのリーフレットが初めてです)。今ではバンダイ占有のウルトラマンや仮面ライダーの版権も当時は競合のものであり、変身セットにもマンやセブン、仮面ライダー、アニメのキャシャーンまでが存在。スーツ縫製やマスクのリアルさは当時の玩具における紛れもない最高水準。玩具マニアは当然の事、のちの多くのクリエイターにも愛されたフィギュアシリーズです。

 彼の目的は「宇宙の正義を守ること」である。

            (シリアル7000)
 
 

 
 
 最初期電子眼ヘッドは、最初期箱である通称ドーム箱にアソートされていた1号ヘッドで、通常裏からはまっている電子眼が2つ別々に表側からはめこまれているタイプのヘッドです。アイレンズの面積が極めて大きいのが特徴。横から見た形状自体も一眼レフカメラのような形をしていて面白いです。カタログや広告等での露出が極めて少ないヘッドで、変身セットDXの台紙に登場する他、殆ど印刷物で見る機会がありません。カタログにある「いつか目はカメラになり、交換も可能になる・・・」を現実に体感させる為の仕様だと思われますが、非常にパーツが小さく紛失しやすいので、中期箱以降の目はパーツ裏からのハメ込み形式に変わっています。
 
 

 
 
◎ タカラ変身サイボーグ1号・グレー
 
 
 1号の初期のみに存在したレアカラーです。本体にメッキはかかっておらずグレーの成型色に腹部が黒塗装されているだけというのが渋いです。
 グレー1号の生産時期は短いのですが、その中で初期グレー後期グレーが存在します。右上は無理やり1stの電子眼を後期にはめてみたもの。右下が後期グレー(オリジナル)です。印象違うなぁ、やっぱり・・・

 シリアルNo.的にもシルバーとグレーはゴールドの前に来ていて、変身サイボーグがかなりリアル路線を優先した玩具シリーズだった事が判ります。
 (が、ワルダーの場合、シリアルでは最も後のバイオレットの販売が最初で、ブルーが翌年73年1月、イエローが順次遅れで4月となっている。シリアルと販売順は一致しません。初期サイボーグを語る上での基本です)
 グレーは1号の知られている素体では現在一番高額なわけですが、当時は900円一律で売られていました。
 
 
 事実上グレー1号は2期パンフの時期までで、73年中盤以降の片貝兄弟設定の時代には姿を消してしまっているので、片貝健一がグレーに変身した、という記録は無いわけなのですが、そこら辺に自分はあまりこだわってません。「クロスレインボー隊」なのに、「グレー」ってのも結構ヘンだし(^^;


 サイボーグ1号発売の72年は自分は幼稚園の年中でした。当然1号を買ってもらえるような年齢でもなく(更に、千葉の自宅から玩具店は遠かった)。僕がグレーを見る事ができたのは翌年で、しかも一度きり!!おもちゃ屋さんでも一番上に飾られてました。見上げてて首が痛くなった記憶があります(^^;
 ドーム箱カッコよかったなぁ・・・


 (自分の設定的には、『サイボーグ化直後の為、思ったように能力をコントロールできない健一の精神が安定感を失った為、炉心反応が核分裂傾向に偏ったモードで、太平洋海上で米軍艦隊を襲ったブルーワルダーと戦い、核エネルギーで倒すが、放射能を放出する危険モードのため、片貝博士との合意に基づき、封印される。失われた戦闘力を取り戻すため、後の超人セット等の開発が行われる事になる』・・・という感じだったりします。あとでストーリーでも書いた時用)




            (シリアル7001)
 
 
 
 
 

 
 
◎ タカラ変身サイボーグ1号・ゴールド(最初期型)
 
 
 シルバー・グレーに比べて明らかに派手で、ゴージャス観のあるバージョンです。おそらく国内玩具で「金メッキ」というイメージを前面に押し出した最初のフィギュアかもしれません。
 後のサイボーグのスチールでもゴールドがイメージカラーにされる事が多いですが、金って80年代も人工衛星やシャトルの太陽電池、宇宙服等にも使われたり、宇宙感のある色ではあると思います。
 
 初期のサイボーグのヘッドは時間がたつと白くなってしまうタイプが多く、また首を成型する方法が違います。タカラサイボーグ研究所(ホビー事業部)の安彦氏によると成型後のソフビの余りをカットするやり方の「ローリング」(ローテーション?ねじ切り。初期はこれ)と「スラッシュ」(中期以降)で違う成型結果が出るのだそうです。ローテーションはリカちゃんの首等にも使われているのですが、クリアだと首のイメージがよくないので、後にスラッシュに変えられたようです。
 ヘッドの後ろの切り欠きはただ切られているだけの最初期タイプです。少し後のバージョンだと、切り欠き上部が丸くなったピースマークタイプ(上シルバー参照)になるのですが、これは切った先から、多方向に切れ目が走ってしまう事を防ぐための処置です。また最初期ボディはひざ上にクラックが走ってしまう事が多いのですが、ジョイント部の金属ピンを左右で締める際の圧力が強いためで仕方のないものです。気にしないのがよし。
 胴体の金は実は銀メッキにクリアイエローのスプレーで表現されていて、いわばFSSガレキ等の金表現の先駆です。実際HMやMHにはサイボーグのイメージも反映されているようです。
 自分がサイボーグ1号を買ったきっかけは73年冬(春先)に小学館の学習雑誌で1号金がプレゼントされててそれに応募したのですが、小学館からの返答は「プレゼント葉書が期限切れですのでもう一度書いて送ってください」。今考えると小学館の人も律儀だと思うけど、せっかく自分で書いて送ったのに1ヶ月待ってそれだったので落ち込んで。あとで結局1号銀(中期箱)を買ってもらい、それがファースト1号です。
 だから結構、自分にはいわくのアイテムなのです>1号金。・・・なんだかなぁ。

 金銀グレー青の4色中では一番後に入手したのが金。以外に難しい。
 実は、自分は最初期電子眼をこれも含めて3コ(1.5体分)しか持っていないので、今回の撮影ではこのゴールドが入らないと、ページを作る事が不可能だったと思います。譲ってくれた方に感謝!!
 (といいつつ、復刻新マンの中の素体はこのデカ目だったりするんですが)

 遊ぶ時の自分の設定はやっぱり『宇宙空間モード』(ネオと同)。これ以降は『核融合炉』という設定で遊んでます。融合炉設定は実はジャガー以外には無いのですが。(少年はアイソトープ電池だし)



            (シリアル7002)
 
 
 
 

 
 
 というわけで・・・サイボーグ1号初期DXそろい踏み。

 初期ドーム箱・ワルダー販売以降中期箱で売られていたDXの武器組み合わせはこんな感じ。73年春以降シルバーDXとセットになったカッタードリルと合成銃は、初期はグレーに付属しました。中期以降はレーザー光線銃&のこぎりがゴールドDXに、無重力銃&物質変身銃がシルバーDX付属武器へと、「トレード」した感じになります。結構意外。

 サイボーグ1号販売フレーズの「金・銀・グレー・・・」は3期以降のパンフでも健在ですが、グレーの製造自体は初期のみで中止され、フレーズのみが残ります。
 なんか当時の洗剤「ブルーダイヤ」のフレーズみたいだな、と思ってたりもしました。「金銀パール・プレゼント♪」(あ、それでサイクロンプレゼントができたのか?)

 またSTもそうなのですが、シリアル7000シルバー・7001グレー・7002ゴールドの並び順は結構意外です。
 
 銀DXのレーザー光線銃の塗装がはげた所から肌色のソフビが覗いていますが、最初期はミラーマン変身セットのヘッドのように、違った成型色が使われていたようです。この光線銃の場合はニューGIジョーのヘッドの肌色ソフビが余っていたので使用されたようです。

 レーザー光線銃には他にもバージョンがあり、初期中期は軸のじゃばら部分が短軸、後期の型では長軸になります。

(シリアル=7300シルバーDX・7301グレーDX・7302ゴールドDX)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
◎ サイボーグ1号ブックレット(1期)

 記念すべきサイボーグ同梱パンフの第1期!と言いたいところですが、厳密にはこれ以前に0期(最初期とも呼ばれ、それを1期と呼ぶ人もいる)に相当する表紙違いがあり、このパンフの名称も1期だったり、2期だったりと定まっていません。ドーム箱に入ってたのは間違いないですが。特筆すべきは販売以前のテストショットの数で、本体もそうですが、掲載されたサイボーグセットは現在のものとは形の違うテスト版がほとんどという、とんでもないブックレットです。また、初期から敵として「暗黒星雲からやってくるインベーダー」等の設定は存在しましたが「海底や地底から暴れ出す怪獣」という設定もありました。2期パンフの「ゲイモス」はその延長設定のようです。

 個人的に一番ウケたコピーは「メカニックがギラッと光って最高だ・・・」
 ・・・・(^▽^);

 写真右側はパンフレットの2,3ページ目。トレーシングペーパーのような薄紙にサイボーグのヘッドと武器が印刷されていて、それをめくるとそこにはナント・・・という遊び心も。ちなみに自分はこのパンフを15000円で買いました(うああ・・・


 

 
 
◎ タカラの新製品情報(左)&当時の小売業者向け納品リスト(右)

 タカラの新製品情報。「ニュー正義の味方」を紹介する店舗向け印刷物(のコピー)。紙焼きされている部分がカラーか白黒かは判断しづらいです。「ニュー」の文字が入っているにも関わらず、スーツの手首がはめ込み式の旧正義の味方と同一状態なのも結構謎。円谷プロの特撮で使用されている・・・はこの印刷物にも見受けられます。月光仮面(当時アニメがオンエア)も掲載されてます。
 右は当時の小売店向け納品リスト。サイボーグはST/DX別に項目されていますが、ワルダーについては(悪役)(予)状態で三種色透明となっていて、つまりワルダー販売前のリストだという事がわかります。この後青や黄が翌年まで販売持ち越しになるとは小売店も思わなかったかも。サイボーグセットはアソートカートン入荷。また誤字が多い!「無重力銃」が「無動銃」の他(1字になってるよ;)バロン1・アルトラマンAなど。
 一番上のダッコちゃんマークの脇に書かれているコピー「いつまでも愛される商品をお届けする だっこちゃんマークのTAKARA」・・・メッセージが当時の僕らにもしっかり伝わっていた。結構感動。 
 
 
 
 
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