CHARACTERS
 
◎ 木嶋 針(きじま しん)
 仮面ライダーVi:(ヴィー)。城空大学医学部卒業の外科医。推定年齢27歳。現在は放浪医者(往診医)として一人旅を続けている。
 インターン時、デスヤプー傘下企業の薬物研究スタッフに引き抜かれ、薬物構造体キチンXの開発班に加えられる。強制的な投与実験の結果、スズメバチ型の突然変異体・Vespa Identified Intelligence =仮面ライダーVi:となる。医師免許所持の研修医状態のまま、警視庁公安部から捜査0課に転任した要敬羅に追われつつ各地を転々としていた際、キチンXにより生み出されたもう一人の蜂型改造人間、Venu=美原雪樹と出会う。
 臓器全反位症候群という持病を持ち、全身の内臓部位が鏡で移したように正反対。出身地は海外だが、両親ともに日本人の為現在日本国籍。父親はバブル期の医療系経済コンサルタントで、その為幼児期から高校までを(中学の一年間を除き)アメリカ、ヨーロッパで過ごす(2年とび級)。帰国理由は父親の過労死が原因である。帰国とほぼ同時に城空大学医学部に入学。ごく普通の学生生活を送るが、過去の人生経験上で祖国体験がない為、国内事情を理解しておらず、実質的に日本を体験するのは「ライダー」となって各地を旅するのが始めてだった。よって価値観は一定せず、言語的にも幼児言語と学生言葉、大学生言語しか体験していない。彼の日本語は主に国外で父母との会話から身につけたものである。
 医学部を選んだのは祖父の病院(町医者)を継がなければならなかった事と、父の死、ドイツ語が多少できる事が理由なのだが、最大の原因は臓器全反位症である木嶋の身体は通常の病院では直す事ができないので、その不安が彼を大学病院への進路志望としたという事である。ライダーとなり大学病院への安住の道を断たれた彼が各地を放浪する事は外科医療面ではリスクを伴っていた。
 ・・・・元フェンシング部副将。イギリス滞在時の部活がフェンシングだった技術面と人当たりの良さが理由と思われる。変容する環境の中でのアイデンティティの託し場所として騎士道精神を選んだ事は彼の精神に大きく影響している。
 通常IQは140内外程度だが、修正IQ(医療及び戦闘)の値は集中力によって測定不能値まで跳ね上がる。なお、DNA医療は得手ではあるが、彼にとってそれは本意ではない。外科医として以外、ときに内科医助手をする事もある。

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 「後天サヴァン性身体機能多発不全症候群」「感情球崩壊症候群」
 ライダーになった事で、彼の能力値は人間のそれをはるかに上回る事となったが、5話で倉田女医が語っている通り、キチンX投与後の更なる天才的な思考能力(戦闘時、DNA薬事時)は、変身終了後の彼の思考、全身機能に大きなダメージを与えることになった。それらは記憶障害、臓器不全、失語症、失字症、歩行不全、指機能不全にまで至る。これが後天サヴァンである。
 それらの問題を「戦闘時のみ解決」し、より強力になるヤプー怪人以上の能力を身につける為に木嶋が開発したのが、キチンX2である。第2段階のブルーVi:およびブルーVenuは高速戦闘形態であり、常時レスポンスを高速化させつつ寿命に影響を与えないX2は(ヤプー怪人は欲望で暴走し殺戮を犯し続けた結果、アポトーシス遺伝子が作動し消滅する)結果としてそれらのサヴァン的障害をほぼ解決したが、その代償は彼の「魂」だった。悲しみも怒りも喜びも彼の心にとどまる事がなく、他者への共感は限度を越え、それを避けるには一切の共感を断たなければならず、魂の一定の状態を維持できない。
 その病気・・・魂の分裂過剰&記憶喪失を、倉田は「感情球崩壊症候群」と呼んだ。
 これらの原因には彼が全反位症候群という不完全な肉体である事、日本国内での人生経験が分断されている事、人格に影響する言語野が分立してしまっている事、好まないDNA薬事に裂かれる脳容量の大きさ、愛する美原への罪悪感、そして望まない人殺しを延々としなくてはならなくなってしまった事があげられる。
 どの症例も彼が戦わない限りは、基本的に再発する事は無い。また、美原については元々日本暮らしでありアイデンティティの問題が少なく、あまり頭も使わないので、これらの症例は出ない。
 倉田は木嶋のこれらの症状を理解し、体系づける事のできる唯一の天才精神科医である。

 木嶋が美原(ライダーVenu)を人間に戻した最大の理由は、キチンX3がDNAに食い込んだ木嶋の身体は完全なるスズメバチ型改造戦闘体であり、その発現形態3rd-form「RED−VI:」にとって、ミツバチ型のVenuは仮にX3を投与しても「捕食」の対象でしかありえないからだった。木嶋は美原を殺さない為に、彼女を人間に戻すしか無かったのである。
 現在の木嶋の真の姿は仮面ライダーとしての姿である。人間としての姿はライダーの身体活動を維持するための休息の姿、仮の姿に過ぎない。
 (更新2004_3/6) 
 
 
◎ 要敬羅(かなめけいら)
 デスヤプーと戦っていた当時のVi:やVenu(ヴェヌ=蜂女)の追跡担当をしていた元警視庁捜査0課0班の警視で、現在首都圏対特殊犯罪治安維持指揮室第一室長(階級は警視正)。Vi:たちを追っていた当時の彼の執念は凄まじく、本庁から木嶋(マルタイ扱い)の監視、警護を要請されるも、物語中で木嶋を殴る事10数回というツワモノである。
 友情の表現がすぐぶん殴る事になって出てしまうのが悪い癖で、一発目のパンチを木嶋がヒョイとよけてしまった事から彼と木嶋の腐れ縁が始まる事になる。現在木嶋とは固い友情関係であるも、自らが木嶋のために科研のコンピューターのアクセスキーを渡してしまった事から「キチンX3」を完成させてしまい、彼を二度と元の人間に戻れなくしてしまった事から自責の念にかられている。
 現在はその名通り、首都の警備部隊を(有事のみ)全掌握できる実権を持つがそれはよほどの特殊事態に限られ、普段はその限りでない。彼が率いる隊は全員特殊防御服の他、ブラストボイドと呼ばれるニードル型散弾の特殊兵装を持ち、Vi:が特定の空間にミラーモンスターを追い詰める事で、現実世界に渡ったモンスターを待ち伏せ攻撃できる。だが、破壊したモンスターと同数の一般人が次々と自殺や変死をしていく現象に悩まされる。
キャリア組だが実力派。鋼鉄の意思を持つ男。年齢32歳。父親は自衛隊参与。(ズバット早川に対する、警視庁の刑事・・・の関係に近いのかもしれない)
 (名前は「要警護対象」「警邏の要」のひっかけです。「羅漢」も入ってるか・・・)
 
 
 
◎ 敷山一路(しきやまいちろう)
 城空大学工学部エネルギー工学科在学中、木嶋の友人だった人物。在学当時は水素エンジンの研究をしており、自らの開発した安全なレース用水素バイクで未来型バイクGPを作るのが夢。木嶋がキチンXを作るのに荷担した贖罪の為ヤプー怪人に襲われる人々を助けたいという願いに共感し、機械工学科と共同開発した試作バイク「スカッドライナー」を木嶋に託し自らもメカニックに徹した。スカッドライナーはオンロード用最速バイク。試作機としてパワーが凄まじく通常の人間にはコーナーを切る事も不可能(直進安定性などは優れている)。木嶋はこれにショック吸収素材入りのリアバッグを取り付け、災害現場急行用の医療バイクとして使用した。
 城空大学卒業後は某自動車メーカーの新型車開発担当に回っている。木嶋と同学年だが、一つ上。スポーツマンでもある(当然短髪)。
 (スカッドライナーのデザインは99年同人に発表済)
 
 
 
◎ 美原雪樹(みはらゆき)
 蜂女=仮面ライダーVenu(ヴェヌ)。某県大学病院の元准看護婦(看護士)。その大学病院自体はデスヤプーとの接点を持たなかったのだが、別の個人病院経営者の子息たちの集まる合同コンパに寂しさから参加した所をそのまま睡眠薬を飲まされ拉致、キチンXを投与され蜂女にされる。
 デスヤプーは彼女を怪人医療専門の看護婦にし、ついには慰安婦にされる寸前だったのだが、ライダーVi:に救われ以後行動をともにする。が、木嶋がキチンXの開発者の一人であるのを知ってしまい、恋愛感情とともに憎悪も抱かされる。木嶋と和解した後は数々の怪人を共に倒し愛し合うも、最強女怪人「クスコワギナー」(ヤプー怪人はこういうのばっか;)を倒した後、キチン0を投与され元の人間に戻る。
 2話の手紙は明るすぎで、実際もあんな感じだが、実はかなり頭が良く人への思いやりもあり愛情深い(怪人にすら思いやりがあったため利用されていた)。目立ちたがり精神がたまに傷(それで目を付けられた)。外見の明るさに対してかなり内面に影を背負い込む癖がある、躁鬱気質。元レディースで高校当時の友人の単車事故が看護婦の志望動機になった。実家は養蜂業経営。人間に戻った現在は正看護士になっていると思われる。現在25歳位。
 (彼女は当分物語には出ないと思います。)
 
 
 
◎ 柘植正仁(つげせいじん)
 新宿熊、新宿の熊、新宿ベアーとも呼ばれる西新宿下町「柘植診療院」の町医者。社会的弱者にも安価(無料)で診察したり、近辺の往診もしているため区域住民の信頼も厚い。診療範囲は内科・外科・接骨。一言でいえば器の大きな人物。性格は豪快で明快さを好み、大人ならではの思考をするがそれを木嶋に強制する事はない。
 以前デスヤプーの怪人に襲われた所をライダーVi:に救われた経験がある。木嶋がライダーであると知っても接し方は変わらず、木嶋の医療についての考え方に大きな影響を与えた人物。サバイバルナイフの使い手で身長180cmの巨漢、40代前半の既婚者。ちなみに2話で彼が飲んでいるのは赤まむし入りのドリンク。さすがに木嶋はこれを飲みたがらない。
 
 
 
◎ 水崎探(みずさきさぐる)
 警視庁科研解析分室の室長。FBIから捜査資料として届けられたミラーワールドの研究レポート、試作デッキ、試作バックルの設計図、警視庁に残された遺留品のデッキから新しくカードデッキを作り出させられる。要敬羅は警視庁によるモンスターの殲滅を目指すが、またしても木嶋を巻き込む事になってしまう。あまり物事を深く考えない性格で、過去の木嶋と似た所があると言っていいかもしれない。
高校時代はICカードハッカーだった事からカードシステム作りに抜擢されるが、研究情報はポトラッツ教授の当時の生徒からも提出されているようであり、年かさ上の科研職員もスタッフとして脇を固めている為、かなり微妙な立場。木嶋より二歳若い25歳。
 
 
 
◎ 綾瀬和青(あやせかずなお)
 秋葉原の電子頭脳専門ショップ「ソリッドカスタム」の店長兼オーナー。茶髪で一見クールだが、実は誠実で明朗、芯の熱さを持つ友情にあつい好人物。30歳。敷山の友人。かなり服のセンスもよく、白衣着たきりの木嶋とは対照的。
 ソリッドカスタムは博物館に入れられるような特殊CPUも扱う半会員制のショップで、実質レアチップに関しては秋葉原でTOPクラスに位置する。シリコンバレーの試作品CPUや軍用CPUまで店には置かれている為(その場合殆どが非買品だが本当に必要な場合は、必要経費と妥当な手数料で手を売ってくれる為)、タンクホーネットやスカッドライナーの制御基盤に使用されるチップはここで調達されていた。
 綾瀬の一般には見えない部分での情報網や機動力、専門知識等は、敷山、水崎すらも凌駕する。一見そうは見えないが、実はかなり面倒見がいい、兄貴肌のある人物。ちなみに店のファンが多いのは、店長の人柄による部分も大きいようである。店もかなりの明朗会計。
 
 
 
◎ 倉田沙貴子(くらたさきこ)
 城空大学医学部卒。木嶋の主治医。木嶋より3年上級で、彼女の学年では主席卒である。現在敷山の彼女「の筈」だが、木嶋との携帯会話を聞く限りではあまり上手くいっていない気配である。
 過去は城空大付属病院勤務の、マスコミ等でも有名な天才的精神科医だったが、木嶋を治療していく過程で心療内科医に転向、現在は青山第一総合病院に勤務する医者たちのカウンセリングを担当する「医者のための医者」である(メディアからも引いている)。
 論理的な思考と大人の女的側面を持っているが性格は極めてアバウト。敷山とは通じる面があるが、男女のつきあいにおいては色々な意味で自由を好むタイプなので、硬派な敷山には食い足りない部分を感じているかもしれない。過去はその性格が災いしデスヤプーに目をつけられ、彼女も木嶋に迷惑をかけてしまっている。女王様バイトの経験あり(現在も?)。催眠療法は一流だが、その彼女でも木嶋の持病を直すことは不可能である。
 (更新2003_7/31) 
 
 
 
◎ リカ(絵理花・えりか)
 木嶋が秋葉原のメイド喫茶で出会った少女。ストーカーに狙われていた所を木嶋に助けられたことで、木嶋・倉田と知り合いになり、以後倉田の通う病院近くにある純喫茶「べるさいゆ」のウエイトレスとしてバイトする事になる。
 躁鬱病と分裂病質を併発している状態だったのだが、6話以降は比較的平静な状態で登場する。本来明朗快活で心のやさしい少女である。秋葉原で電気関係のショップをしていた亡き父の影響で秋葉原に入り浸っているが、逆にいえばそれ以外の世界を知らない少女ではある。
 (更新2004_3/6)